この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第2章 峭椋村の巫女姫
「旨いか!」
商品を誉められて男も嬉しそうだ。
「とても美味しゅうございました」
「ハハっ ならもうひとつ食べていくかい?」
「はい!──…。あー……」
即答した彼女は、落ち着きを取り戻す。
食べたい、とても食べたいけれど…
「ごめんなさい。わたし、もう行かないと…」
彼女の頭上に、村長の顔が浮かぶ。
名残惜しげにそう言った彼女を、男はこれ以上強く引き留めなかった。
「そおか…お姉ぇさんみたいに旨そうに食ってくれる客は大歓迎だ。また寄ってくれよ!」
「ええ、そう致します。ではこれで…」
「──?…ちょっ、待ちなよ姉ぇさん」
「……はい?」
「はい?じゃなくて…っ、──ほら、お代!」
……お代?
「店の商品食べたんだから、お代は払ってってくれよ…っ」
当たり前のことだ。そう言う大男は彼女に向かって分厚い手を突きだした。