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§ 龍王の巫女姫 §
第10章 春節の夜
「ばくちく…?」
爆竹は、年があけた直後に都中で打ち鳴らされる。これも春節を祝うのにかかせない道具だ。
そのための爆竹を運んでいた馬車に、提灯の火が何かしらの機で燃え移ったらしかった。
危険だ、離れろ
男の叫び声が通りに鳴り渡る、次の瞬間
右斜め前の人混みの向こうから、大きな火花が吹き上がった。
「‥‥‥!?」
大量の爆竹に着火して
パチパチ等と可愛い音では表せない。
その音は、水鈴に悪夢の夜の記憶を呼び起こした。
“ 火、事‥‥!? ”
「おい!馬が暴れてる!!!!」
「きゃあーー!!!!」
爆竹の積み荷に繋がれた馬が、音と熱に怯えて大きく跳ねた。