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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精
──…
茶で一息ついた後の炎嗣には目を通さなければならない書状が残っていた。
使いの者はなるだけ早く都に戻る必要があったので、彼もそれまでに読まないとならない。
公務を邪魔してはいけないと思ったから
水鈴は茶を飲んですぐに執務室を出ていった。
“ だから…また暇になってしまった ”
彼女は呂夫妻の家屋に戻り、庭に面した所に腰かけていた。
「…ねぇお婆ちゃん、他にお仕事はないですか?」
奥に座る老婆に、せがむように声を掛ける。
「ないですよ、なーんにもありません」
「本当はあるでしょう?」
「ありませんっ」
これ以上、寵妃である水鈴に働かれたら大変だ。
老婆はきっぱりと首を振った。