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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精
愛されるようなこともしていない。
何もできない自分だけど、預言の人間だから仕方なく側に置いているんだ。
いつまでも甘えていいのかはわからない…
けれど、彼がいなくなったらわたしはひとりになってしまうから…ここにいるの。
いつか飽きて愛想をつかされる日が来るのなら
せめて、その時まで──
「水鈴様の不安は、おしはかれませぬが…」
「……」
黙ってしまった彼女に、老婆は後ろから優しく話しかける。
「この老いぼれの目は、だてに多くのものを見てきたわけではありませんよ…」
老婆の座る位置からは、水鈴の銀髪が朝の日をうけて、川の水面( ミナモ )のごとく煌めいていた。