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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく
その後、花仙が止まったのは、手を伸ばせば簡単に触れることができる位置だった。
水鈴は首を曲げて真っ直ぐ彼を見上げている。
今の花仙は長めの髪を後ろでくくっていなくて、ややほつれたそれが肩の上で遊んでいた。
──…花仙は不意に スッと腰を下ろした。
「…!?」
当然驚いた水鈴は後ずさりそうになる。
花仙は彼女の足元に手をやると、若草の上に落とされた手綱を取って再び立ち上がった。
「──…きちんと掴んでおかないと」
「……ぁ」
「逃げてしまってからでは遅いのですよ?」
水鈴に寄り添う子馬の鼻を撫でてから、彼は手綱を彼女の右手に戻した。