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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく
「ねぇ…答えてくれないの?」
「……」
「口も利きたくない?」
「…そうですね」
自身の腕の中にすっぽりと収まった水鈴の、頭部の銀髪に頬を当てた花仙が答えた。
「仮に、水鈴様に会いたければ…もっと早くに貴女を追って王宮にのり込んだでしょう」
静かな音量で告げられる。
言葉と裏腹に、彼の腕は愛おしげに水鈴を捕らえながら…。
「だから…──」
「もう、いいです…花仙‥っ」
トンッ
水鈴は身体を捻り、花仙の胸を手で押した。
「──…」
「花仙の気持ちはわかったから…もう、いいです」
そう言った水鈴は
彼と " 同じ様に " 冷静に振る舞おうと努めた。