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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく
彼の舌が絡んできた時には──水鈴は自分でも信じられないくらいに落ち着いていた。
「…ふ、ン…ン」
確かに息苦しかったけれど
嫌じゃなかった。
彼らしくない行動が、ただ嬉しかった。
《 愛する女性 》──その一言で十分。
頭がぽわんとして、胸の辺りが熱くなって
うっとりとしてしまう水鈴…──
…でも
「…水鈴様…ッ」
花仙の顔は対照的に険しくて。
「何故 抵抗しないのですか」
泣いているのかと思うほどに声を震わせて…
「…何故…拒絶してくれない…!!」
「…は…ァ…」
責め立てるように呟いては、甘く唇を塞いでくる。
「…ッ わかりませんか?逃げなければ──」
“ どうして逃げないといけないの? ”
「逃げなければ…貴女はこのまま…っ」
“ だってこの行為は愛情の筈でしょう?
わたしは全然…嫌じゃない ”
水鈴は心の内で花仙の言葉に返答する。
声に出して伝えたくても、すぐに塞がれるから不可能だった。