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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女
────…
花仙がいなくなり、炎嗣と…眠る水鈴だけがそこにいる。
「戻るぞ」
炎嗣は横たわる彼女にそう告げて隣に屈んだ。
背中と膝の下に手を差し入れ、抱き上げる。
早く戻らねば
心配した侍衛が彼の捜索をしてしまう──。
......
そして二人は離宮に戻った。
途中にすれ違った仔馬は自分で道を覚えていたらしく、ひとりで森から帰ってきていた。
「おお、陛下」
「水鈴様もご一緒だ…っ」
人間をおいて馬だけが帰ってきたことを心配していた呂夫婦も、二人の姿を見つけて胸を撫で下ろしていた。
水鈴はどこか怪我をしているわけでなく…
炎嗣に抱えられて眠るその顔は、安らかで柔らかなものだったから。
けれど