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贄姫
第4章 肆
今日何があったのかを
細かく椿の父母に周は説明をしたのだが
あの痴態だけはどうにも言えず
そこは伏せて報告をした。
周の報告を受けてわかっているのだから大丈夫、
とほほ笑む椿の両親の顔に
ひどい疲れがにじみ出ていた。
特に、母親はひどかった。
今にも、死にそうな顔だった。
「周よくやってくれた。今日はゆっくり休みなさい。
勝手に婚約者として仕えさせ
勝手にそれを解除する私たちを、どうか恨まないでほしい」
「恨むなんてそんな……俺は、英家に仕える身です。
なんなりと、おっしゃってください」
「これからも、椿を護ってほしい。
あの子には、まだまだ、ほかの人間の助けも必要だ」
「そうですね。
だけど、あの瓊乱という鬼はかなり力が強いので
護りは大丈夫でしょう」
それに両親はうなずいた。
「わかっている。あれは力が強すぎて、周や椿しか近寄れん。
見張って、律してくれ」
「はい」