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贄姫
第4章 肆
「…椿、良かったな」
そう言いながら
瓊乱が唇を解放した。
する、と中から指を引き抜く。
すると、椿の収まりかけていた欲情の苦しみが
またもや襲ってきた。
「…妖のお出ましだ…」
瓊乱がハスキーな声で楽しそうに笑った。
「妖…な、なんで屋敷に入れたの!?」
「お前が強情だからだよ」
それは、半分本当で、半分嘘だった。
このままでは自分の理性が吹っ飛ぶことを
瓊乱は分かっていた。
だが、欲望を止められないでいた。
その時にちょうどよく椿匂いにつられて
妖が侵ってきたので
意識をそちらに向けることができた。
そうでなければ。
ーーー確実に犯していたなーーー
「…あいつに襲われたいか?
嫌だったら……俺にお願いするんだな。
…逝かせてくださいって」
意地悪くそう言い終わるのと
その大物なる妖が侵ってくるのが同時だった。
『これは…芳しいと思ったら人間の女か?』