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贄姫
第1章 壱
光り輝く陣が椿の胸を中心にできあがる。
「これから、守護者となる妖を呼び出す。
条件に合う合わないがあるから様々なのを召喚する」
ふーん、と椿はまるで
人ごとのような返事をかえす。
「お前を護れる力が強い妖を呼ぶからな」
そうなんだ、と曖昧な返事を返した。
まだ、実感が湧かないのが現状だ。
悪い夢であればいいのに、と
今更ながらに思う。
「あのなあ、椿。召喚された妖と、お前が取引するんだぞ」
「え?」
当たり前だろ、と周はいつもの
つっけんどんなしかめ面をした。
「生涯お前に付くんだからな。ちゃんと選べよ」
「そんな、急に言われても無理に決まってるじゃない‼︎
周がやってよ」
「無理でもお前がやるんだ。
俺は、あくまでも仲介役に過ぎない」
「なんで、そうなるのよ…」
決まりだからだ、と周に頭ごなしに言われて
椿はいつもなら頭に来て言い返すのに
それさえもせずに憂鬱な気持ちに浸った。
「大丈夫だ、俺がちゃんと見ててやる。
こんなことくらいどうにだってなる」
真摯な瞳に癒されて
椿は「わかった」とかすれた声で呟いた。
「よし、そろそろ始めるぞ」
強い眠気が襲って来て
目を閉じた瞬間。
儀式が始まった。