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贄姫
第1章 壱
「落ち着け、椿」
いつもの周の声音に
すっと意識が現実に戻る。
「いいか、これで最後だ。
俺は1体しか、もう召喚できない。
相性が悪かろうが、なんだろうが
そいつと契約しろ。
でなければ…言わなくても分かるな?」
ごおおお、という風鳴りが響き渡り
さらに家屋の一部が吹っ飛んで行く。
「わかった…」
悪い。
そう謝って、周は切ない顔をした。
「終わりにするぞ」
椿の額に触れ、
そこに口づけを落とす。
周のそんな行為は初めてで
驚きすぎて息を飲んだ。
その時、術が発動して
床に散らばった水晶が光りだした。
「周…っ!」
彼の手の温もりが消えた瞬間。
「なんだよ、騒々しいな」
その場の雰囲気に合わない
ハスキーな声がいやにはっきりと響いた。
目を開けると
目を疑うような綺麗な顔の男が
椿の身体はをまたいで
腕組みしながら覗き込んでいた。
「え…?」
「何だこれ、幼いじゃねーか」
そういうといきなりその男は、
椿の上に馬乗りになった。