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贄姫
第1章 壱
その昔、とある妖ととある村娘が恋に落ちた。
本来、人と妖は相入れぬもの。
しかし、その禁忌は恋する2人にとってはなんでもなかった。
2人は森で逢瀬を重ねあい、お互いを愛し合った。
しかし、人間の娘は、村の人間の男に嫁いだ。
突然来なくなった娘を心配して村に出た妖が見たのは
その娘が嫁いで行く晴れ姿だった。
妖は人を、娘を、憎んだ。
憎んでも憎みきれず、幸せそうな2人を見るたびに心が荒んだ。
ある日、大きくなったお腹を抱えた娘の元に妖は現れてこう告げた。
『お前たちの一族の子孫は、代々、妖に襲われるようになる』
妖は娘に呪いの針を打ち込み
それは、お腹の子に届いて刺青となって現れた。
それ以来、刺青を生まれながらにして身体に宿す子が生まれると
17の誕生日になると大勢の妖が現れて連れ去ってしまった。
一族は悲しみ嘆き、呪いを解く方法を探した。
しかし、何をしても呪いは解けず、一族には何代かに1人
刺青を宿す女子が生まれ続けた。
妖に生贄として捧げられるその子は
いつしか一族と妖たちの間で『贄姫』と呼ばれるようになった。