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贄姫
第1章 壱
「いきなり贄姫だのなんだのって言われて
気がついたらここにいて儀式だなんだって言われて
わけわかんない!
せっかく誕生日だったのに!」
まくしあげるように一気に吐き出すと
あとは涙と溢れ出る悲しみで声にならない。
「周はあんなになっちゃうし
家はめちゃめちゃだし…
もう…どうすればいいの…」
それを椿の腹の上で聞いていた男は
ニヤニヤと笑った。
「笑ってんじゃないわよ!」
「へーえ、お前が贄姫か?」
ハスキーで冷たい声音に
なぜか椿の方がしまった、と思った。
「ちが…」
「いまさらおせーよ。全て納得できた」
つまり、と男が笑うと
牙がくっきりと見えた。
ーーー喰われるーーー
椿が目をつぶると
着物の前襟を乱暴に開けられた。
「や、ちょ…やめて!」
胸があらわになり、
あまりの恥ずかしさに気を失いそうになる。
もがこうとするが、
呪縛に加え、乗っかられた男の重みで
ピクリとも自分の身体が思い通りに動かない。
「すごいな…」
男の目がまたもや赤く染まり始める。
「これが噂の…」
椿の身体に触れようとした時。
男の手に呪符がすっ飛んできた。