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忘れられない指
第2章 出会い
「あ、そうなんだ・・いや若く見えるからさ。
 で、仕事、なにしてるの?」

何の仕事をしてるのか、それを聞かれるのは大好きだ。
胸を張って言える、自慢できる仕事だからだ。

「アパレルメーカーでデザイナーしてます。
 小さい会社だけど、ちゃんと商品として世に出てるんですよ」

おぉすげえ!と3人の男の声が和音になる。
そこでマスターが話しに加わってきた。

「そうだったんだ。
 この辺り、そういう仕事してる人が結構住んでるよ。
 お客さんでも何人かいてね。じゃあこれから常連になってもらえそうかな?」

今日は眼鏡をかけているマスター。
その眼鏡の奥の瞳が柔らかく歪んで見える。
私はドキドキとした心臓を抑えながら、
はい!と元気よく答えた。
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