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忘れられない指
第14章 意識の中に
凌空と一緒に重ねる月日は
私に楽しさと安らぎをもたらした。

ほぼすべてに前向きな彼にはいつも感心させられる。
それに、ガッチリと束縛するような事もしない。
私が仕事のことで頭がいっぱいの時、上手くいかない時、
恋人と過ごす時間より仕事に打ち込みたいとイラつけば、笑顔で好きにさせてくれる。

そんな自分勝手を謝ると
ベッドの上でこれでもかと言うくらい愛してくれる。

凌空が与えてくれる幸せは、私の中に十分沁み渡っていき、
心の片隅にはびこっていた小さなモヤモヤは、その存在を薄いものにしていった。


そして順調な交際も1年半を迎えようとした頃、
凌空の口からたびたび聞かれるようになった言葉がある。

結婚、だ。

私は25歳、凌空は28歳。
早すぎるという年齢ではない。
でもまだ結婚しよう、といった具体的な事を言われたわけではない。
人の話やテレビでの話で結婚がキーワードになっている話を
やたらとするようになったのだ。

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