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忘れられない指
第17章 終わるための罪
アパートの前に着いても孝明の腕を離さなかった。
「咲ちゃん・・」
彼の呼びかけも無視して、私は腕を掴んだまま階段を上がる。
一瞬はその場に踏ん張った孝明だが、その後は
流されるようにして私の後に続いた。
ドアを開け、孝明を中に押し込んで鍵をかけた。
今夜の音は、破裂するような音に聞こえた。
その場で・・私は孝明の胸に顔をうずめた。
「私は・・人任せにし過ぎたんだ・・
自分から突破していく勇気がなかったんだ・・」
孝明の背中に手を回し、強く強く抱きしめる。
彼からかえってくる力はない。
私の背中に手を回し、同じように抱きしめてほしいのに、
ただじっとして私を受け入れている。
それでも私が手の力を緩めることはなかった。