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忘れられない指
第3章 恋のすすめ
子供の頃から憧れていた、ファッションデザイナーの仕事。

念願の専門学校に通い、都会のおしゃれな街を徘徊しながら目を肥やし、
そしてついにはデザイナーという肩書を持って仕事ができるようになった。
体の疲れや時間の無さと引き換えるのはたやすいことだ、と
自慢げに彼らに話した。

3人は無言で頷く。
マスターはカクテルを作りながら微笑みを浮かべている。
その笑顔は言葉の代わりに褒めてくれているようにも見える。
慎介さんに褒められると・・うれしい。

「いいね、咲子ちゃんのその眼。
 好きが仕事になるって幸せだよ。ましてや自分で形を作り出す。
 かっこいいよ、咲子ちゃん」

凌空がグイッと腕を押し付けてきた。
ほのかなコロンの香りが鼻をくすぐる。

マスターの言う、若くていいオトコ達が私を取り囲んで
私の頑張りを褒めてくれる。
疲れは一気に吹き飛んだ。
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