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忘れられない指
第4章 決意、そして失恋・・

同じ会社で働く、一つ下の美波ちゃん。

私と同じように専門学校を出て新卒で入社してきたのだが、
学生時代から付き合っていた恋人と、このたび結婚することになった、と告白されたのだ。

お相手は10歳年上。
学生時代にアルバイトしていた、服飾の付属品を扱う卸問屋の社員なのだという。

「あ、もしかして、若いバイトの女の子に手つけちゃって、ってやつ?」

そうからかうと、まぁそんなとこかなぁと、
照れることなく美波ちゃんは言ってのけた。
まだ23歳、仕事だってこれから面白くなっていくのだろうに、
美波ちゃんは結婚退職を決めた。
まずはしっかりと奥さんをやって、そして早く子供が欲しい、
そう目を輝かせて私に話してくれた。

私が食いついたのは、若い結婚と仕事を手放す、ということよりも
お相手が10歳も歳がはなれている、ということ。
それだけ大人の男が大人なりたての若い娘と結婚する。
おかしい事でも珍しい事でもないわけだ。
だったら私がマスターのお嫁さんになってもおかしくはないって事よね・・?

このことをきっかけに、私は真剣に考えだした。

マスターに、慎介さんに・・
私の想いをとにかく伝えてみたい、と・・・
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