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忘れられない指
第2章 出会い
「あぁ!忙しかったよぉ!おとといからの展示会の準備でさぁ、夜中まで!
なんとか終電で帰してくれたけどさぁ、人使い荒いんだよ、うちの社長!」
「ありゃ、それはそれはご苦労さん。
でも普段は普通に帰ってこれるだろ?
一昔前のファッション業界人なんて、毎日のように夜中まで
仕事しちゃってたからねぇ。
そういう時代じゃなくなって、咲子ちゃん達はよかったよ」
たしかに、聞いたことがある。
ファッション業界絶頂期は、とにかくみんな仕事漬けだったらしい。
夜中まで働くのがステータス、みたいなとこがあったって、
社長も言ってたっけ。
「昔の人はスゴイねぇ。私だったら絶対やだ!
だってプライベートが無いじゃん!
こうやって夜な夜なここに来ることもできないし、お金より時間、だな、私は」
カンパリオレンジのグラスを揺らし、カランカランと氷の音を楽しんでから口に含んだ。
お金より時間、なんてもっともらしい事言っちゃってるけど・・じつは私・・・
マスターの慎介さんに想いを寄せていて・・
2回り近く歳がはなれているけど、ぜんぜんおじさんぽくないし
けっこう整った顔してるし、
なんといってもおだやかで優しいし・・
ここに通う常連客の中で最年少の私のことをいつも気遣ってくれる。
だから週に一度は必ず店にやってくる。
それに加えて、常連客仲間の男たちの中でお姫様気分を味わうことも
もう一つの楽しみになっている。
なんとか終電で帰してくれたけどさぁ、人使い荒いんだよ、うちの社長!」
「ありゃ、それはそれはご苦労さん。
でも普段は普通に帰ってこれるだろ?
一昔前のファッション業界人なんて、毎日のように夜中まで
仕事しちゃってたからねぇ。
そういう時代じゃなくなって、咲子ちゃん達はよかったよ」
たしかに、聞いたことがある。
ファッション業界絶頂期は、とにかくみんな仕事漬けだったらしい。
夜中まで働くのがステータス、みたいなとこがあったって、
社長も言ってたっけ。
「昔の人はスゴイねぇ。私だったら絶対やだ!
だってプライベートが無いじゃん!
こうやって夜な夜なここに来ることもできないし、お金より時間、だな、私は」
カンパリオレンジのグラスを揺らし、カランカランと氷の音を楽しんでから口に含んだ。
お金より時間、なんてもっともらしい事言っちゃってるけど・・じつは私・・・
マスターの慎介さんに想いを寄せていて・・
2回り近く歳がはなれているけど、ぜんぜんおじさんぽくないし
けっこう整った顔してるし、
なんといってもおだやかで優しいし・・
ここに通う常連客の中で最年少の私のことをいつも気遣ってくれる。
だから週に一度は必ず店にやってくる。
それに加えて、常連客仲間の男たちの中でお姫様気分を味わうことも
もう一つの楽しみになっている。