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忘れられない指
第8章 確かめたい、互いの心・・
アパートの階段が見えるところまで来た時、
こちらへ歩いてくる人影に気がついた。
街灯の灯りに照らし出されたのは・・孝明だった。
孝明は私だと気づいていないようで、ただ前を向いて歩いてくる。
立ち止ったままでいる人の気配に、やっと孝明はこちらを見た。
そして彼も一瞬立ち止る。
「・・あれ、咲ちゃん?」
凌空のような甲高い声で名を呼ぶと、小走りで近づいてきた。
「今帰り?」
「うん、孝明さんは?これから出かけるの?」
「ああ、シークレットに行こうかなって。咲ちゃんは?
もう行ってきたの?ってそんな時間じゃないか。どっか出かけてたんだ」
今の言い方だと・・
孝明は知らないんだ。
凌空が私を誘って出かけた事を。
それがどんな目的であるかも・・