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忘れられない指
第8章 確かめたい、互いの心・・
「どこ行ってたと思う?」

私は探りを入れてみた。

「そんなのわかんないよぉ。なに?よっぽど楽しいとこに行ってきたの?」

やはりなにも知らないようだった。
ちょっと困惑顔で見返してくる孝明の眼を見ていたら、
私の体の中心が突然、おおきく脈打った。

視線を落とし、彼の指先に目をやる。
私はまたあの快感が欲しくなった。
凌空から聞かされた私への想いが蘇る中、孝明との温もりもよみがえってくる。

「孝明さん・・」

「ん?なに?」

どこに行ってたのか、その答えはとっくに忘れ去られ、話は変わっていく。

「・・聞いてもらいたい事があるの、相談っていうか・・
 ね、ちょっと寄っていってよ」

自分から男を誘うようなマネ・・わずかに恥ずかしさがよぎったが
どう思われても構うもんか、と私はねだるような目で見上げた。

孝明は・・戸惑った顔で私を見下ろす。
その眼はあの時にも見た。同じ眼・・

「・・じゃあ、ちょっとだけ」

私は孝明より先に歩き出す。
すぐそこに見えるアパートの階段まで、一気に走りたい気持ちをおさえ、
孝明の一歩前を歩いた。
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