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忘れられない指
第8章 確かめたい、互いの心・・

「美味しそうだね」

チャーハンを目の前にしてまず香りを楽しみ、
手を合わせてからスプーンに山盛りチャーハンをすくう。
ほおばってすぐ、孝明は笑顔を見せた。

「うまい!咲ちゃん、料理上手なんだ。この前のハンバーグも美味しかったしね」

孝明の笑顔をおかずにしながら私もチャーハンを口に押し込む。
いつもの料理もおいしいと言ってくれる誰かと一緒に食べればもっとおいしく感じる。
結婚して、旦那さんや子供のために料理を作る喜びってこういう事を言うのかな、
なんて想像してみた。


ご飯を食べている間はたわいもない話をした。
深刻さのかけらもない、テレビの話やちょっと前に見た映画の話。
それでも孝明は、話を催促するような事はしなかった。
彼自身も今のこの時間を楽しんでいるように見える。
このまま夜が明けたら・・
それほど心地の良さを感じられるひと時だった。
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