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泣かない!
第1章 殺す価値ありな男達
私は千鶴。28歳で無職です。
大学を卒業後は地元の銀行でテラーをしていました……。

「最近、彼氏とまたケンカしちゃったよ」
私は同棲している彼氏と些細なことで言い合いになります。そのことを同僚で同期の彩香に愚痴るのが日課です。
「千鶴ちゃん……大丈夫?男は尽くしちゃうとすぐ腐る生き物だから、お金渡したらダメだかんね」
彩香の彼氏は派遣社員らしい……でも、本当は月に何回か日雇いの倉庫作業に行くだけのヒモという噂だ。彼女は派遣社員だけど正社員を目指してると自負するが……彼氏さんは35歳だよ。「彼氏が社員になったら結婚する」と彩香が啖呵切ってから何年過ぎただろう?
ちなみに私の彼氏はプロのスロッターです。今は別れたけど……。
※パチスロの買った金で生活をする者
「無駄遣いする金なんて渡してないよ」
私はそう言ったが……この時は気付いてなかった。この国はギャンブル賭博を法的に認めていない。だからパチスロは賭博じゃない。彼がスロットで使うお金は必要経費です。

-*-
家路に着いた。残業すると彼が私の体調を心配するのでしません。定時で帰るのも日課です。彼が仕事でいない時は多いけど、栄養のある食事を作ってあげることも私の役目す。彼は朝昼は食べずに仕事に励むから。

問題はここからでした。
玄関の扉を開けると―-
彼氏が複数の男にボコられていたんです。トランクスも履いていませんでした。
「あああぁぁ健史……」
「ち、千鶴ぅぅ」
泣きながら私に手を伸ばしてきました。私はすぐに彼を抱きしめます。
「け、警察呼びます!!」
私は男達にそう叫びました。大声を出せば近所の人にも聞こえます。複数で一人を殴るなんて野蛮人です。
「あんた……コイツの女(スケ)?」
ボスっぽい男が私に言いました。
「そうよ!」
私はケータイの0ボタンを指で圧しました。強く押し続ければ防犯ブザーが鳴り響きます。
「コイツが負けた腹いせに台(スロット)の中にジュース入れて壊したから弁償させに来たんだよ。警察に突き出せば、悪意ある器物破損で20年間豚箱にぶち込めるけど、有罪になりゃあ台の修理費つーか、買い直す金は戻ってこねぇからな」
「彼が壊した証拠はあるんですか!?」
私は男に言ってやりました。健史がそんなことするはずありません。
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