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MY GIRL
第16章 東京
もう、こいつ…こうやって突然クッソ可愛い事言うから、マジで襲いたくなるんだよな。

…凄ぇ、抱き締めてキスしたくなる。

…言いたく、なる。

自分の中で長年温め続けてきた思いを。

「俺は美咲の事…愛してるよ?」

「ん、ほんと?ありがと〜」

「…」

…うん。

俺のこの思い、心の奥に閉まって置いた方が身の為かもな…

マジでこの美咲の殺人的鈍感さ…どうにかなんねぇのか。

「俺…ちょっと寝るわ」

「うん?寝るの?おやすみ〜」

「着いたら起こせよ」

「でも後30分位で着くよ?」

「…あぁっ!?そんな進んだのか!?」

「だってほら、見てこれ。次東京駅だよ、もうすぐ着くよ〜」

「…うわ、マジだ。いや寝るわ…」

「そっか、おやすみ〜」

座席に体を預けつつ、頭を美咲の肩に寄り添うように凭れ掛けてみる。

「重いよバカ!」

なんて言いつつ振り払われないから、安心して目を閉じた。

あーほんとこいつ、いい匂い…

心地いい。

自然と、俺の瞼は下りていった。









「うわぁあ」

「うわ、すっげーな。何この人の数。きも」

「ふわぁあ」

「たっかい建物ばかりじゃん。美咲、倒れんなよ」

「のわぁあ」

「あっ!見ろよ美咲、あれモデルの○○!ほっそ。テレビで見るより美人じゃん」

「何ここー!」

聞いてねぇ…

つか目がめちゃくちゃ輝いてて可愛いんだけど。

東京駅に来たのは初めてらしく、きょろきょろと忙しなく辺りを見渡し、歩く人にぶつかりそうになってる美咲。

「ちょ…危ねぇぞバカ。不安だわー…春からお前がここに住むと思ったら」

「あ、そっか!東京の大学だもんね。わーい、こんな賑やかな場所で暮らせるんだー!」

…今更?

すると、にっこにっこと周りを見渡す美咲に若い男がぶつかった。

「っ、わ。おい、うろちょろしてんなよ…って。うわ、めっちゃ可愛い」

「?」

ぶつかりよろけた美咲を受け止め、至近距離でまじまじと美咲を見つめる男。

「おいっ…」

「ねぇ、俺とどっか行かない?東京案内するよ」

「いや、」

「えっ、ほんとですかー!?蒼汰、案内して貰おー!」

「…あ?」

「…、」

俺がいると知った途端、めちゃくちゃ柔らかーい笑顔から一転、俺を冷たく睨みつける男。


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