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MY GIRL
第16章 東京
素直に

「美咲と一緒にいたいから志望大学同じにしました」

って言えばいいのに、

「ぐっ、偶然!偶然一緒だったんですよ、志望大学が!べっ、別に美咲と一緒にいたくて同じにしたとかっ、すげー勉強頑張ったとかじゃないですからっ」

ってどもりながら言われて。

「はいはい、美咲が心配だからだろ?言い訳いらねぇよ分かってんだから」

って言ったらまだごちゃごちゃ言ってたし。

本人には絶対言わねぇけど、もう俺にとってお前は、大切に思う人間の1人だよ、蒼汰。

美咲を任せる位、心許してんだよ。

駅のホームに降り、丁度来た電車に乗り込む。

男が多い車両まで移動し、吊り革を握ってため息を吐いた。

いやー…春から楽しみだな。

裸エプロンでもして貰おうかな。

理性と一緒に疲れ吹き飛ぶわ。

そんな事を考えながら、緩みかけた頬を引き締める。

電車下りたら電話しよ。

最寄り駅について電車を下りると、美咲に電話した。

2コールで出た美咲。

「美咲、今どこ?」

早歩きでマンションまで歩きながら、俺の顔は自然と笑顔になる。

「今ねぇ、電車待ち!大樹ぃ、早く会いたい〜」

「俺も早く会いたい。…今日寝れると思うなよ?」

「やぁもー!大樹のえっち!」

はは、と笑ってエントランスをくぐり、階段を上る。

「もう会社終わったの?」

「うん、もう部屋着きそう。エレベーターあるからそれで来いよ」

「ううん、前みたいに階段で行くよー!」

「…元気だなー、お前」

「元気だよー!…って、ちょっと蒼汰!いきなりぶつからないでよびっくりしたじゃーんっ」

「わり、子供走ってったから」

「…あ、そっか。なら仕方ないね」

「あ、大樹さんと話してるなら聞いてみ。地元のお土産がいいか東京のお土産がいいか」

近くで聞こえる蒼汰の声。

…こんな大人びた声してたか?

「そうだった!ねぇ大樹、地元のお土産と東京のお土産どっちがほしい?地元のだよねっ!?」

「…ん?美咲は地元の、蒼汰は東京の持ってきてくれんの?」

「そうなの!ねぇどっち〜?」

わざわざ申し訳ない。

まあこの答えは当然…

「美咲が地元のなら地元のものの方が嬉しいかな」

って事にするよな。

勿論どちらでも嬉しいが。


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