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先生、早く縛って
第8章 他の子に触らないで
その声の持ち主は階段の下から近づいてくるけど、めちゃくちゃに泣いている私はそちらをまともに見ることができない。
でもこの声は神谷くんに間違いない……
今、私に構わないで……!
下を向いたままの私が、すれ違うように階段を走って降り始めると、神谷くんもすぐ後ろを走って追いかけてくる。
「待てよ! おい! 危ないだろ! 結衣っ!」
スポーツ万能の神谷くんを私が振りきれる訳は無くて……
階段を下り切ったところで、その場に座り込んでしまう私を受け止めるようにした……その腕に。
強く抱きしめるように包み込む神谷くんのその腕に……すがるようにして私は泣いていた。