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先生、早く縛って
第10章 それぞれの距離
角を曲がり長い廊下を抜けると、探し求めた先生の姿が見える。職員室へは立ち寄っただけでもう帰るみたいだ。
駆け寄り、後ろを着いて歩く私に先生は振り向いてくれなかったけど……私は少しづつ足を速めて校門を出たところでなるべく自然に隣へ並んだ。
「桜井先生……一緒に帰りませんか? 話がしたい……」
恋人でもない私に先生が謝ってくれるはずも、その理由もないけど……少しだけでも弁解してくれないかな? さっきのは誤解だよ、って……
「……今日は急いでるんだ。それに俺には特に話はない」
そう言うと先生はさっさと歩き出す。
何か、一言ぐらい……それに、神谷くんのことは何とも思ってくれないの?
「先生……っ! 何でそんなに意地悪なんですか……?!」
思わずそう言う私には振り向きもせずに、どんどん駅の方へ向かう先生。私はあんなところを見たのに話すことがないなんて……いくら何でもひどいよ。