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先生、早く縛って
第16章 つながりたくて
何を言っていいか分からなくて、石塚さんが座っていた場所を何気なく見ると、新しそうな座布団が一つだけセッティングしてある。
「結衣の席ってことだな」
と言って、苦笑いのような笑みだけど……石塚さんに会った時からずっと無口だった先生がやっと笑ってくれた、その時。
ドド―――――――――――ン!!
また大きな花火が上がった。
「あっ! 始まった!」
思っていたよりもずっと大きく、近く見える花火……座布団に急いで座って、私が思わず口をあんぐり開けていると先生がクスクス笑う。
「打ち上げ場所から割と近いから迫力あるだろ? そんな顔にもなるよな」
……だってこんなに綺麗な花火を見たの初めてだもん。それも初めて好きになった人と。
私たちはしばらくの間、ただ花火を見ていた。
私はただただこの景色をこの胸に焼き付けようと……必死な気持で。