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先生、早く縛って
第21章 鬼畜王子
悩んだ顔を見せながらも石塚はパンをまた一つ食い終わり、さらに俺の弁当のおかずにも手を伸ばそうとする。
「どうせもうフラれてるってことだろ? 今さら何しても一緒だろう」
最後に残していた卵焼きを盗もうとした石塚の手を叩きながら、そうは言ってみたものの……
付き合った女に対して、石塚がどんなに優しく……それこそウザいぐらいに構ってやるタイプか俺は知っている。
いつだって石塚は誠心誠意相手に向き合っている。
そう、本気で人と向き合うのがこいつのいいところだ。
そして、俺に足りない部分なのかもしれない……
「ちぇっ……王子様にはわかんねえよな~」
石塚が矛先を俺に変えてグチりはじめたとき、俺の眼の前に影が差し……
「桜井先輩……ちょ、ちょっと……いいですかっ?」
見上げるとそこには、一年らしい女子が真っ赤な顔をして立っていた。