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先生、早く縛って
第22章 指定席の女
俺の言葉に課長は笑顔を崩さないままうんうんと頷き、自分は他の社員たちも見なければならないからと普通車両に行ってしまった。
俺はグリーン車両だ。
その背中を見送りながら、もっともらしい事を言いつつ、やはり跡取り息子と同席するのは肩が凝るのだろうな……と俺は思った。
俺は空いてしまった父の席にでもと思って座席を払い戻していなかったのだが……
新幹線が滑り出し、ボストンバッグだけが置かれた隣のシートを見てため息をつく。
京都まで一人か。
俺はこのまま家業を継ぐのか……
あの父親の言うままに。
それは自分の責任であることも理解できるし、この仕事への興味もある。
しかし……自分自身で決めた将来ではないのにやっていけるのか。
子供の頃からずっと考えて来たが、結論が出ない内にもう高校二年生だ。