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先生、早く縛って
第24章 愛の才能
さぁ、どこから手をつけるか……高揚感に包まれながらも、期待し過ぎてはいけないともう一人の自分がブレーキを掛ける。
そしてふと、先輩が残してくれた鍵が置かれた場所に目をやると……そこにはこの書庫の目録が置いてあった。
偶然なのか、それともわざと置いてくれたものなのかは分からないが……蔵書の数が膨大なだけに、リストがあるというのは有難かった。
そして俺は小一時間ほどかけて調べ……それを見つけた。
褪せた金の文字で〝愛奴隷〟と書かれた深緑の表紙……この学び舎で、恐らくほとんど人の目に触れてこなかったのだろう。色あせてはいたが、とても綺麗な状態を保っていた。
そして、まともに話しても貸出しなどしてもらえないであろうその本を、俺はその場で読み耽った。
一脚だけ置かれた、木製の古い椅子……
そこに座り、文字通り我を忘れて……何時間も。
俺は中世ヨーロッパの退廃的な世界に心奪われていた。