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先生、早く縛って
第24章 愛の才能

すると中からバタバタという大きな足音が聞こえ……
蓉子が中から飛び出して来た。足もとは……スリッパのままだ。

「ずっと待っていたのに!」

と叫び、俺に抱きつこうとして……そこで蓉子の動きは止まった。

「え……一海……くん?」

蓉子の浮かべる表情は、驚き以外の何物でもなかった。
そしてバツが悪そうな様子で、俺を中に招き入れた。

「……今日はどうしたの?」

そう話す蓉子は、あんなに寂しいと言っていたはずなのに……全く嬉しそうではない。

「来客の予定でもあるの?」

と俺が訊いた時だけ「ない。ない……無いわ」と繰り返す。

テーブルに向かい合って座り、落ち着かない様子で時計ばかり気にしている蓉子に〝愛奴隷〟のことを少し話してみると「知らない……」と言ったきり、また上の空だ。

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