この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
先生、早く縛って
第24章 愛の才能
それは賭けだった。
実際にはあの日挨拶をして以来、部長と話をしたことはなかった。
彼の近況も何も知らない。
しかし蓉子は……その名前に動揺の色を見せた。
「そ、そう……先月配置換えがあったって言ったでしょう? だからしばらく話をしていないの……」
「そうなんだ……じゃあ、蓉子は知らないかな? 二人目のお子さんができたらしいよ。奥さんの身体のことをすごく気遣って……部長は大変な愛妻家だね」
そう言って蓉子の顔を見ると……
その瞳からは涙がポロポロと零れ出た。
まさか、嘘だろう……
心のどこかでは蓉子のことを信じていたのに。
零れ出た涙に手を当て、隠しきれないと悟ると……身を折って泣き出す蓉子。
あんなに愛していた蓉子の涙も……俺には全く響かなくなっていた。