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第24章 愛の才能

「……嘘だよ。奥さんは妊娠なんてしていない。いや、本当はどうかも知らないけど……ねぇ、蓉子。本当のことを教えてくれないか？」

驚いて顔を上げる蓉子の表情は皮肉なことに……部長とのことを俺に勘付かれてしまったということよりも、今の話が嘘だったと知った喜びの方が大きく表れていた。

「部長は先月まで……月曜日の夜は毎週部屋に来てくれていたの。でも私が配置換えになってからは……全然……」

今日は月曜日だ……
そして先月っていったら……俺と数ヶ月はダブっていたことになる。
俺は、妻帯者であり週末になかなか会えない部長の代わりだったのか……？

この気持ちは何だ……
軋む……何か。
これが心、か……？