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先生、早く縛って
第24章 愛の才能
「ま、待って! 一海くんのことを好きになったのは本当よ? でも……どうしても比べてしまって……」
俺は蓉子の顔を見ないまま尋ねた。
「ハードなSMを蓉子に教えたのは部長? あのホテルにも……行ったことがあったんだよね? もう、どうでもいいけど……」
「ごめんなさい……自分でもどうにもできないの……でも、行かないでっ……私を捨てないで……!」
もう部長の愛も望めないからだろうか。
寂しさと愛を混同した蓉子が叫ぶ。
俺は振り返らずに部屋を後にした。
蓉子と繰り返すセックス、そしてSMの中で感じた愛は……幻想だったんだ。
俺は俺でSMと愛を混同していた。
自分にも人を愛せると……そう証明したくて。
今、寂しさはあったが、心はさほど痛まない。
やはりこれも愛ではなかった。
初めての恋人に裏切られて……こんなにも心は痛まないものなんだろうか?それとも自分に問題が?
情が薄いのか……それは父と同じように?