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先生、早く縛って
第24章 愛の才能
「……あの京都の展示会の時、初日は蓉子と部長が二人で対応していたのに、二日目は蓉子一人になっていたのを思い出したんだ。あの日、一緒に食事をして宿泊する予定だったのは……部長だったんじゃないのか?」
聞かなくても答えは解かっていた。
そうだ、だからあんなタイミングで蓉子は俺の前に現れた。涙を見せながら……
蓉子は相変わらず泣いていたが、ふとそこで笑顔を見せた。
「一海くんってやっぱりすごいね……そう、私はあの時、彼へのあてつけで貴方に近付いたの。私はすごく楽しみにしていたのに、あんまり簡単に仕事を優先させるから……」
これが、俺が見つけたはずの愛の……答え。
俺は氷のように冷めていくのを感じていた。
彼女と話すことはもう何もない……
立ち上がり玄関に向おうとする俺を見て、蓉子は弾かれたように俺の背中にすがりついて来る。