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先生、早く縛って
第26章 幼馴染
さっきまで子供みたいに騒いでいた凛の決意に満ちた横顔。
その夢自体は少女のような無邪気なものだったが、自分の道は自分で決めたいという真っ直ぐな気持に俺は共感していた。
それぞれの事情は違えど、凛も俺も好き勝手に自分の夢を語れない家に生まれた。けれど健気に自分の夢について考え、何とか自分の力で立とうとしている凛。そこには俺も学ぶべきものがあると思った。
だからこそ力になってやりたい……そんな気持ちが自然と湧き上がる。そしてそれは石塚にとっても同じようだった。
「そういうことなら俺も応援するよ……でも一海、分かってるだろうな? ずえったいに……」
手を出すな、だろ? そう言いかけた俺の手を凛が両手で握りしめる。
「カズくん、今度の模試で志望校A判定だったら……二人きりで夏祭りに行ってくれる?」
意外な申し出だった。
何しろ凛と会ったのはおよそ7年ぶりぐらいだ……
小さな頃は俺を追い掛け回していた凛だが、ずっと憧れていたなんて有り得ない……
そうか。デートなどに漠然と憧れる年頃なのか。
それにしても、これほど魅力的に成長した凛に恋人がいないとは……こんな家に生まれれば当然のことだろうか。
夏祭りに行くぐらいなら……と俺が考えていると、石塚が即座に割り込んできた。