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先生、早く縛って
第26章 幼馴染
俺の目下の悩みはまさにそれだった。
家業を言われるがままに継ぐことへの反発から教職課程をとっていた俺だが、最近になって教職への想いが強くなり……先日などは父親から「まさか本当に教師なんて目指していないだろうな」とくぎを刺されたくらいだった。
父親曰く「桜井家の跡取りでそんな寄り道をしたものは他にいない。言語道断だ」と。
父はそもそも、俺が化学の勉強を続けていることは歓迎していた。染めの技法は実は化学と大変関わりが深いからだ。
しかし教師になるとなれば話は別だ……俺は忙しい父を捕まえては何度も何度も話をした。そしてある一つの答えを引き出してはいた。
今まで通り家業は手伝うこと、そして30歳になったら教職を辞し家を継ぐならば良い、それ以上の譲歩はしない……あの父親にとっては最大限の譲歩なんだと思う。
しかし俺は、そんな中途半端なことなら初めからやらない方がいいのではないかとも思えるのだった。
俺がそう話すと……凛の顔からは笑顔が消えていた。