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先生、早く縛って
第28章 夢の途中
あれから行われた凛の葬儀は、あの大邸宅には似つかわしくないほどに質素なものだった。
一人娘の凛を失った両親の悲しみは計り知れないものがある。
そして、俺たちにとっても……
俺は今、火葬場の煙突の煙を呆然と眺めていた。
凛が真っ青な空に昇って行く……
そこへ石塚が現れた。
「行っちまったなぁ……凛」
そう切り出す石塚の表情は限りなく優しい。
今、俺たちは同じ喪失感の中にいた。
「凛の話……聞かせてくれるんだろ?」
怖気づきそうになったが……俺は聞かなければいけない。
「あぁ。凛は知られたくないかもしれないし、一海も知りたくないかもしれない……でも俺たちはこれから先も生きて行かないといけないからな」
どんなことでも受け入れるよ、凛。
俺は黙って頷いた。