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先生、早く縛って
第34章 それはただの傷痕

「待て、一海! 本当にこの居酒屋なのか!?」

「ああ……間違いない」

息を切らせた俺と石塚がその店の中に踏み込むのと同時に

「先生……!」

という叫び声が聞こえて来た。
間違えようがない……結衣の声だ。

見ると、4~5人の男たちに押さえつけられた結衣の足の間に、銀髪の男が身体を割り込ませていて……

それを見た俺の頭には一瞬で血が昇った。

男に向かい一直線に走り、その顔面を蹴り飛ばす。

「ぐあっ……!」

不意打ちが効いたのか、吹き飛んだ男はすぐには立ち上がってこなかった。

「結衣……!」

結衣を助け起こそうとすると、その周囲の男たちが「てめえ、この野郎っ……!」「藤川さんっ!」などと、口々に何か叫びながら襲い掛かってくる。

藤川。
畳の上にのびているこいつが……この家に住むという卒業生か。

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