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先生、早く縛って
第34章 それはただの傷痕
寝間着を着せ、注意深く体調の確認もしたが、やはり眠っているだけだろう。このまま病院へは行かずにおこうと決めた。
あとは結衣の自宅に連絡を入れなくてはいけないが……結衣の意向を聞いてからがいいだろうか。
コンコン……とノックの音がする。
着替えが終わったことを告げると、沈痛な面持ちの神谷が部屋に入ってきて俺の前に立った。
「あんたに……あんたに結衣を幸せにする気はあるのか?」
情熱を秘めた若い瞳で真っ直ぐに俺を見つめる神谷。
俺も真正面から神谷の目を見て告げた。
「俺は結衣を愛してる」
神谷の瞳が揺れた。
「結衣がどんなに喜んで、そしてあんたのせいでどんなに苦しんだか……俺には想像できるよ。今まで気付いてやれなかったけど……」
そして結衣に視線を移し……愛おしそうに見つめるその目は濡れていた。