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先生、早く縛って
第36章 本気と勇気
ドキドキしながら終業式に臨む私。
先生は……どこかなぁ?
いつもの行事ならそこに立っているはずの場所に先生はなかなか現れなかった。
そして……
「――急なことではありますが、桜井一海先生はご実家の都合で今期限りで退職されることになりました。先生の方からは、大変心苦しいですがスケジュールの都合で今朝海外に旅立ってしまうのでお別れの挨拶もできず――」
女生徒たちの悲鳴があがり、教頭先生の声がかき消されていく。
何……なに? どういうこと……?
私は石塚さんの言った言葉を思い出した。
〝手を離したらダメ〟って……こういう意味だったの?!
騒然となる体育館を私は飛び出し、電話をする。
プルルル……プルルル……
「ごめんっ! 結衣ちゃん!」
電話に出るなり、石塚さんは私に謝り続けた……
先生に口止めされて黙っていたことを。