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先生、早く縛って
第37章 重なる想い
まだ泣きべそ顔の結衣の頭をポンポンと叩き、俺たちはTGVの駅に向かった。
スーツケースを棚に乗せ、座席に座ってからも結衣はしょんぼりとしている。空港で買った、昼食用のバケットサンドにも手を付けようとしない。少し言っただけなのに……まだ落ち込んでいるのか?
俺たちは、流れるように飛んでいく窓の外の景色を静かに見ていた。
外はもう、あっという間に州境だ。
すると……結衣が意を決したように話し始めた。
「飛行機の中でずっと……ラブラブな再会シーンをいろいろ妄想してたのに……眠れなくなるぐらいいっぱい……」
あぁ、そういうことか……それで拗ねているのか。
「怒られてばっかりでズルいですっ……」
結衣の頬にまた、一筋の涙が伝う。
「それに……それに……先生はなんでいきなり先生辞めちゃったんですか……?」