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先生、早く縛って
第37章 重なる想い

「家の仕事については、責任だけじゃなく自分自身の強い意欲も感じているんだ。親に言われて家を継ぐのと、自分自身で選んでその道に進みたいと思うのとでは意味が全然違う。何年も掛かってしまったけど、そのことにやっと気付いたんだ」

「あ……石塚さんも言ってました。お父さんに春菜さんを紹介する時に……家を継ぐって言ったら二人の好きにしなさいって言われて……改めて家を継ぎたいって決心したって……」

「うん。俺も教師になったことに後悔もないけど、辞めたことに未練もない。それに……」

俺は結衣の小さな手を両手で包み込んだ。
愛しい人の手を。

「暴力行為は褒められたものではないけれど、あの状況になれば何度でも俺は結衣のためにああいう行動をとってしまうと思うよ」

「……」

突然返事が無くなり……結衣を見ると、安心したのかすうすうと寝息を立てて眠っている。時差の関係もあるのだろう……

「結衣、ありがとう……」

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