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先生、早く縛って
第37章 重なる想い
俺を信じきっているような結衣の寝顔を見て淡い幸福感を感じる。
頬の涙はもう乾いていた。
思い返せば、俺はこと恋愛に関しては過ちを犯し続けてきた……
今回も、教職を辞めてフランスに行く選択をしたことは、ただの逃避なのではないかという思いも持ったりした。
この決断もまた過ちなのかもしれないが……しかし、過ちではない行為などそもそもあるのだろうか。ただひとつ痛い程知っているのは、過ちを犯さないために本気にならずに生きていくのは虚しいものだということだ。
だからこそ、お互いを赦し合える関係……そんなものがもしあるとしたら、それは何に替えても手に入れる価値があるのかもしれない。
そんなことを考えながら、俺は窓の外を流れる景色をひとり見つめていた。