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先生、早く縛って
第38章 先生、早く縛って
身体の縄を解いてもらって、そして少し落ち着いてくると……壁にピンク色の綺麗な着物が掛けられているのに気が付いた。
パッと見はピンクなんだけど、よく見るとそれは白から濃いめのピンクまでの様々な色が使われて……
「キレイ……なんか、桜がいっぱい咲いてるみたい……」
「あぁ、結衣に譲ろうと思っていた着物で……思い入れもあったから持ってきていたんだ。ディナーに着て行こう」
先生は少し照れくさそうに言う。
それは桜襲(さくらがさね)という枕草子や源氏物語にも出てくる日本古来の配色で、本来なら十二単などに重ねて使うけれどそれを一枚の染めで表現して……と先生はいつもの調子で説明を始めて、私もそれを幸せな気持で聞く。
そう思っていたら、先生が「あ……」と言って部屋を出て行ってしまった。そしてすぐにあるものを持って帰って来た。
「これ、さっき少し見えて気になったんだけど……」