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カノジョ
第6章 そんなカノジョ《再》
「……なんて事…あったっけぇ………」
車窓から覗く長閑な風景を眺めながら、恭子は窓枠に肘を掛けた手の甲に顎を乗せて独りごちる。
二両編成のローカル線。
柔らかい陽射しが射し込む車内。
恭子以外の乗客は、野菜を山積みにした籠を持った初老の女性だけだった。
ウェーブの掛かった肩までの髪に、白いブラウスにロングスカートを身に着けた姿は一見して清楚なイメージを持たせる。
「…結局、あの後何回もシちゃったっけぇ………。
アソコも…お尻も……いっぱい………」
とても淫猥な事を思い出してるとは、誰も想像がつかないだろう。
長閑な風景が、まだ真希と出会う前の数年前を不意に思い出させたのだった。
「今度…真希ちゃんと帰省【カエ】ってみようかしらぁ………」
多かった緑から無機質な灰色が増え、色とりどりの屋根が密集する景色。
住み慣れた町が見えれば、思わず軽く溜息を洩らす恭子だった。
【完】