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カノジョ
第8章 あんなカノジョ《再々》
 
 カジノに居た誰かが撮ったのは間違いなかった。

 あんなイヤらしい姿をするのは、カジノでしか無かった筈だった。

 実際、背景には見覚えのある機器も映り込んでいた。

 群衆に囲まれていただけに人物は特定出来ない。

 見えない相手に対して、杏子は不安と恐怖を感じていた。

 何も考えまいと目を閉じて何度も寝返りを打つ。

 布団の中に籠もる熱に、掛けていた布団から脚を出す。

 黒いハイレグショーツから伸びた太腿から爪先までが外気に晒され、ヒンヤリとした感覚を覚えたのも束の間だった。

「う、うぅん…」

 どうしても貼り紙が頭から離れない。


…もしかしたら…他にも貼られて…
…顔とかも写ってたりとか…
…それか…既に家までバレてるとか…


 悪い方へと想像が膨らむ。

 それに比例するかのように、ドキドキと鼓動も速まっていく。

 チラッと時計を見遣れば、まだ日付も変わる前だった。

「……よし」
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