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カノジョ
第2章 あんなカノジョ
 
…やっぱり今日も…見てた…


 夜道を進む杏子の鼓動は早まるばかり。

 顔は疎か、カラダ中に火照りを覚えながらも、コツコツとミュールの音を鳴らして歩く。

 カーテンが開け放たれた部屋の中で、ショーツ一枚だけの姿になっての着替え。

 アパートの杏子の部屋と面する形で建つ、向かいのマンションの廊下から感じるいつもの視線。

 生着替えのカラダの隅々を見られていると思うと、杏子は鼓動を早めながらも妖艶にカラダをくねらせて着替えたのだった。

 女教師としての溜まったストレス。

 学校では避けようとしていた好奇な視線も、プライベートの時間を迎えた女教師には、ストレス発散の一因でしかなかった。

 そして、毎夜の様に出歩く事も、杏子の明日への活力であった。

「恭子さんにも…真希ちゃんにも……負けてないよねぇ」

 頬に熱さを感じながら自身を見下ろす杏子。

 昼間のキチッとしたスーツ姿とは打って変わった、オンナを全面に押し出した姿がそこにはあった。
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